オーガニックコットンと普通のコットン
世界的な認証機関GOTSが定めるオーガニックコットンの基準を紹介します。
〇栽培開始前の3年、その土地で農薬・化学肥料・殺虫剤、枯葉剤をしようしていない
また栽培期間中も使用しない。
〇従来の慣行栽培から有機栽培に切り替えたことで、生産者及びその家族の
生活が向上している
〇収穫後のオーガニックコットンはすべての工程で通常のコットンと分け、
絶対に混ざらないように管理できている
〇洗浄や加工の際に排出する水の管理・処理方法が適切である。
〇オーガニックコットン製品の生産に携わるすべての人たちの人権を尊重し、
子供や女性・移民による強制労働を行なわない
このようにオーガニックコットンは厳格かつ公正な基準をもとにつくられています。
オーガニック農法にはIFOAM(国際農業運動連盟)が定義する下記の4つの指針があります。
①Health(健康)●生産者の健康
●田畑土壌の健康
●育てる作物の健康
●近隣の家畜や生物の健康
●生産地周辺の自然環境の健康
に配慮しなければならない。
②Ecology(自然の調和)農地周辺の環境は地続きで様々な生態系に影響を与えます。
すべての生き物に配慮しバランスを保てるようにしなければならない。
③Fairness(公正) ●生産
●加工
●梱包
●輸送
●卸売
●販売
●消費
自然環境面だけではなく、全ての過程で働く人の待遇や人権にも
不当な労働環境や搾取的労働がなくなる様に配慮する必要が有る。
④Care(次世代への思いやり)
周りの自然環境や生物、人々に思いやりと敬意を持ち
次の世代へ健康で持続可能な地球を受け継ぐ責任ある行動が必要である。
ここまでオーガニックコットンの基準と基礎となる定義を紹介しました。
つまり私たちは普通のコットンに比べてオーガニックコットンを選ぶことで
環境面だけではなく、労働者や子供たちの人権をサポートすることが出来るのです。
逆に普通のコットン生産で起きる課題についてもご紹介します。
課題①大量な農薬散布による、生産者の健康被害
大量の農薬や化学肥料・殺虫剤などを散布することで土壌の栄養分が損なわれ、
生態系のバランスがくずれることと、多くの化学薬品が空気中をただようことで、
ほかの生物や人間、地球環境への悪影響を免れません。
周辺に住む家族、農薬を吸い込んだ親から生まれた子供たちに発症する病気や
身体・精神的な異常も多数報告されています。
課題②遺伝子組み換え綿が与える環境への影響
コットンの大量生産が可能になった要因には遺伝子組み換え技術の発展があります。
これによって出来たコットンの種は特定の害虫や病気に強くなり管理しやすく、
収穫量も一時的には拡大します。
ところが、ある一定期間は強くなっても生き物(害虫や病原菌)は常に進化を
続けるので、いずれは遺伝子組み換えコットンに適応してしまいます。
そうなるといたちごっこであらたな農薬の追加散布が必要になり、
生態系の崩壊がはじまり、突然ある生物が大量発生して、
作物を枯らしてしまったり、
周辺に暮らす在来生物を絶滅に追いやることで
生態系のバランスを崩してしまい不健康な土地を増やしてしまいます。
課題③過酷な強制・低賃金労働
作付面積で世界2位のインドではおよそ48万人もの子供が強制的に働かされています。
ほとんどは親の借金返済や家計を助けるためなどの深刻な理由を抱えさせられ、
安い賃金で不当に働かされています。
遺伝子組み換えの高い種代と農薬の借金で暮らしが立ち行かなくなり、
綿農家の30人に1人が自ら命を絶っているという報告もあります。
課題④水の汚染・枯渇問題
私たちが購入できるコットン製品の多くはインドや中央アジアで栽培されています。
この地域はもともと乾燥地帯です。生産地周辺の川や湖、地下水から貴重な水を
調達しながら、一方で農薬や化学薬品による汚染をすすめています。
つまり、普通の綿を使い続けることで私たちはその地に暮らす人や生物の
貴重な水資源を奪い続けていることになるのです。
私たちが意識的にオーガニックコットンの商品を選択する生活にすれば
生産者の周辺は農薬や化学薬品で汚染されていない環境へと改善に向かい、
遺伝子組み換えの種による生態系の破壊が止まり、
貴重な水の使用料は91%削減され汚染も減ります。
児童の強制労働も無くなり学校に行けるようになると考えられます。
今はまだ労働の手間やトレイサビリティーの大変さもありオーガニックコットン
を使用した商品は希少なため普通のコットンの商品と比べると
どうしても高くなっています。
それでもオーガニックコットンを応援することで
全てのコットンが当たり前にオーガニックな製法によってつくられる
人と地球にやさしい未来になることが理想だと思いませんか。